自分は今、山の海にいる2017-08-18
降る降るという予報が引っ張り
葉陰でこっそり西日を受けるゴーヤを収穫する。
もはや畑は作物含めたあらゆる緑であふれかえり
畝と通路の区別もつきにくい。
人為的に植えた”緑”を探せるのは、植えた者のみ(笑)。
ただの草地と化した一帯は、しかし宝の山に満ちている。
(海に行きたいなぁ……。今年も行けなかった)
遠い潮騒を切なく思い出してたら
膝丈を越した草を漕ぐ負荷が
引き波の中を歩くそれに似ていることに気づいた。
そうか、これは波だ。
自分は今、山の海にいるのだった。。。
日没間際でも陽が射すと、
一瞬で灼熱の草いきれに包まれる。
うわぁ……とめまいがしそうになったところへ
一陣の風が渡ってきた。
特段涼しいわけではない風。
が、木々を揺らす思いのほか大きな風音に
ただならぬ寂しさがあって
「アレ?」
と立ち上がった。……と、
目の少し上を赤とんぼがつい―、つい―と
横切っているではないか!
それも一匹二匹ではない。
……気がつかなかった。
盆を過ぎれば――と
慣用句のように飛騨で交わされる通り
温暖化も天変地異並みの猛暑もそっちのけで
秋の気配は暦通りにキッチリやってきたのだ。
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